「……ただのいとこか。わかったよ、もう疑わないから安心して」
張り詰めているこの空気を先に破ったのは、千草だった。
「ごめんね」と真剣に謝られ、あたしは渋々、彼を許すことにした。
うんと頷くだけのあたし。
わかってくれたならそれでいい、と思った。
あたしが怒っていたのは、陽平のいるところでそんな発言をされたくなかったからだ。
中学2年のあの日を思い出して、また気まずくなってしまうのは、どうしても避けたかったから。
「陽平とは何もない」って理解してくれたのなら、もうあんなことを言わないのであれば、今までの発言は全部、水に流してもいい。
……千草は一緒に住んでいる人なんだし。