「あれって審査あるんだよね? 難しいって聞いたことはあるけれど、俺も応募してみよっかなぁ」
そう言って、彼は鼻歌を口ずさみながら、すれ違う女の子を目で追っている。
「無理だよ、あたしたちは」
話し方からして、千草は何も知らないのだとわかった。
きっと結婚していたことも聞いていないのだろう。
「陽平は新婚枠で入ったんだよ」
別に隠すことでもないと思ったし、いずれ気付くだろうから、あたしは陽平が若くして結婚したことと、去年の春に離婚したことを彼に教えた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…