千草と肩を並べて歩きながら、あたしは殺風景な町並みをぼんやり眺めていた。

あたしたちが行こうとしているのは、家から近い小さな神社。

地元の人たちしか行かないようなところだ。

人ごみが苦手だからそこにしたんだけど、神社に近づくとすれ違う人も増えてくる。

着物を着た女の人たちを見る度に、あたしは自分の服を見下ろしていた。

「てかさ、ほんっとおいしいよな。3LDKなのに家賃3万ちょいだぜ? さすが陽平ちゃんだよねぇ。俺、県営住宅なんて思いつきもしなかった」

たまにしか相づちを打っていないのに、千草はそんなこと気にもせず、1人でずっと喋り続けてる。