コタツから出た彼は自分の部屋へ入り、出かける準備をし始めた。

「まだ洗い物してないし……」

「んなの、帰ってからでいいじゃん」

断ろうと思ったのに、千草に遠回しな言い方は伝わらないようで……。

仕方なく、あたしはため息をつきながら用意をした。

玄関先で靴を履いて待っている千草に、とぼとぼ近づいていく。

「可愛いじゃん」

ヘアゴムを外して髪の毛を下ろしてきたあたしに、にこにこ笑いかけてくる彼。

恥ずかしげもなく、そんな台詞を平気で言える男。

誰にでも言ってるんだろうな、と呆れてしまう。