色鉛筆で干支を描く友達からの言葉を、何度も何度も読み返す。
早く学校が始まればいいのに、と願いながら。
あの頃のあたしは学校が大好きだった。
寝ているあたしを放ったまま初詣に行くような家族とは、できるだけ顔を合わせたくなかったから。
「あけましておめでとう!」
インターホンが鳴り、外へ出ると陽平と彼の家族が笑いかけてくる。
家に居場所のないあたしを、優しく受け入れてくれた人たち。
「初詣に行こう。早く着替えておいで」
おじさんとおばさんは、あたしを本当の娘のように思ってくれていた。
「僕の年賀状、見た?」
暖かそうなコートを着た陽平が、元気よく話しかけてくる。
幼い頃、正月はいつも陽平たちと過ごしていた。