すっげぇ言いたくなかったんだろうな。

不機嫌そうな彼女は、急に食べるペースを速めていく。

まだ口の中には食べ物が入っているのに、箸で挟んでいるものを無理矢理、中に詰め込んで。

のどが詰まりそうになって、むせている彼女が可笑しかった。

「……何、笑ってんのよ?」

真っ赤な顔でしかめっ面をする花。

「別に」と答える俺は、空になっている花のコップに茶を注いだ。

ありがとうも言わない彼女。

よれよれのジャージに、適当に結んだ茶色い髪の毛。

女というよりは、子供というか……小動物みたいな感じだな。

ひねくれてるから苛めたくなるけれど、なぜか……今の俺は、お腹がいっぱいなのに頑張って食べている彼女を「可愛い」と思ってしまった。