「食べないで! 今からジャガイモを買いに行って、ポテトサラダ作るんだから!」

つまみ食いをしてたわけでもないのに、花は俺の手から皿を取り上げた。

「今からスーパー行くの? もう時間も遅いじゃん。別にサラダとかいらないよ」

壁に掛けてある大きな時計を見上げ、外に出ることを心配する俺。

色気がない女でも襲いたい男は、たくさんいるだろうから。

「陽平がポテトサラダ好きなの!」

この俺がせっかく心配してやってるのに、どうやら花の頭の中は、愛しの陽平でいっぱいなようだ。

「……飲んでくると思うよ?」

俺の経験上、部長と一緒に動くときは、絶対に帰りが遅くなる。

仕事が終わってから、飯を食いに行って、その後も何軒か飲みに連れ回されるから。