勢いよく飛んでくる素足。

慌てて後ろにのけ反り、無事に花の蹴りから逃れることが出来た。

「……もう少し女らしくなった方がいいんじゃない?」

「鍵がないから、一歩も外に出れなかったの!! いつ帰ってくるのかわからなかったし、バイトも休んだんだから!!」

はい、会話が噛みあってません。

俺の話を無視して、彼女は不満を漏らす。

「あぁ、鍵は1個しかねぇもんな」

そう言って、手にしていた鍵を彼女に見せる。

「陽平は?」

ドアはもう閉めてるし、玄関には俺しか立っていないことがわかっているくせに、彼女は体を傾けて俺の後ろを見ようとする。