同僚たちが向こうから歩いてくるのを見た俺は、しがみつく彼女から早く逃れようと思った。
「放してくんない? その手」
腕を上げて、女の手を振り払った。
すると、彼女は傷ついた表情で見上げてくる。
……イラッとした。
「てかさ、俺を悪者にするのはやめてくんないかな? 俺、1度でも君のことを好きだって言ったっけ? 言った覚えはないんだけど」
何度か寝たくらいでいい気になるなっつーの。
お前みたいな尻軽に本気なわけねぇだろ。
「彼氏がいるのに、他の男と寝た君が悪いんじゃないの? 別れたのにって言ってこられても、困るんだけど」