眠っている間も何度か、大きな物音がして目が覚めた。

けれど、睡眠不足だった俺は舌打ちをするだけで、そのまま寝続ける。

そうして、ちゃんと起きた頃にはもう日が暮れていた。


「へぇ、料理できるんだ」

寝ころんでTVを見ていると、ジャージ姿の花が大きな鍋を台所から運んできた。

「作れるものは限られてるけどね」

体を起こして鍋の中を眺めていると、花は謙遜しながらもどこか自慢げな表情をする。

「花は煮物が上手なんだよな」

冷蔵庫から茶を出す陽平は、鍋を覗いて「うまそう」とつぶやいた。