「……そういや、言ってたね。今日の朝、花ブーが引っ越してくるって」

酒を飲んでるときに言われたから、すっかり忘れてたけど。

「誰がブーよ!!」

1つの荷物を陽平と2人で持つ花は、俺の顔を睨みながら前を通り過ぎていく。

数日前、同じ日に「この家に置いてくれ」と頼んだけれど、彼女はまだ荷物をまとめていなかったようで、越してくるのが少し遅れていた。

「この辺でいい?」

「うん! あ、もうちょっと、そっちに置いていいかな?」

仲良さげに荷物を運ぶ、2人。

「俺、もうひと眠りするから」

そう言って、俺はもう1度、自分の部屋に入った。