「……こんばんは」 どんな顔をすればいいのかわからなくて、挨拶がぎこちなくなってしまった。 目を泳がせながら戸惑っている俺を見て、おじさんは気まずく思ったのだろう。 「じゃあ」と言って、彼はゆっくり側から離れていく。 同じ道を歩く俺は、彼に近づかないよう、一定の距離を置いていた。 実家の前に立つ俺は、インターホンへと手を伸ばしながら、去っていくおじさんの後ろ姿を見つめていた。 どうしようかと考える。