中学を卒業するまでの俺は、自分のことしか考えていなかった。 孤独を背負う花に同情していた俺は、幼い頃から彼女に優しくすることで、いい人になっている自分に酔っていたんだと思う。 彼女を捨てられた子犬のように見ていたのかもしれない。 その優しさも中途半端なもので、中学生になった俺は好きな女の子が出来た途端、自分になつく花の存在をうざったく感じるようになった。 「あかりちゃんのこと、好きなの?」 ……あの夜もそうだった。