きゅうすを台に置き、目の辺りに手を持っていく彼女。

こっちを向いていないから、泣いているのかどうかははっきりしていない。

だけど、今のは絶対に、鼻水をすすった音だと思う。

どうして、そこまで無理をするんだろう。

……俺には全く理解できない。


彼女はちゃんと泣きやんでから、こっちに戻ってきた。

だけど、妙なハイテンションが痛々しくて、俺は話しかけられても素っ気なくしていたと思う。


……胸の奥がモヤモヤする。

その夜、俺は無理して笑っていた彼女が忘れられなくて、なかなか眠れなかった。