「ごちそうさま」 まだ食べ終わってもいないはずなのに、陽平は箸を置いた。 彼は不機嫌そうな顔で、使った食器を台所へ運んでいく。 「もういらないの?」 「あぁ。……タバコ買ってくる」 おどおどと声をかける花にも、素っ気ない返事。 一瞬、どうしたのかなと不思議に思ったけれど、俺はさっきまでの食卓を振り返ることで、すぐに彼の心境を察した。