数分後、彼女はテーブルを叩くようにして、持っていたペンを置いた。
「何なのよ、一体!!」
ずっと見つめられていたのが気持ち悪かったのだろう。
険しい顔で俺を睨んでくる。
花はいつも単純で、すぐムキになる。
何度もからかってるけれど、子供と遊んでいるみたいで、全然、飽きがこない。
「キスされたこと、陽平ちゃんに話したんだろ? どんな顔してた?」
こんなことをわざわざ聞かなくても、陽平のあの態度を見れば、どんなだったかは大体、予想はつく。
だけど、わざとその話を振った。
なぜなら、昨日の気まずさはそのことが原因になっている、と思っていたから。