「……千草ぁ」
タバコを吸いながらぼんやりしていると、隣で寝転んでいた女が背中へ両腕を回してきた。
「もう1度してほしい」と願うかのような目ですり寄ってくる。
甘える女の髪の毛を撫でながら、俺は吸いかけのタバコを灰皿へ擦りつけた。
「花はお前の周りにいるような軽い女じゃない」
2度目をしようと女の上に被さりながら、ふと、昨日言われた台詞を思い出す。
まるで「自分たちは特別だ」というかのような発言。
あんな風に純情ぶっていられるのは、きっとそれくらいの経験しかしていないからだ。
所詮、男と女なんて欲求の対象でしかないのに……。