「雑煮は飽きた」と言った俺に花が作ったものは、市販の粉を使った2枚のホットケーキ。
頼んだのが俺じゃなく陽平なら、きっと手の込んだ料理をするんだろうな。
ちゃんとした時間になっても陽平は「お腹が空いていない」と言って、昼は食べなかった。
部屋から出てこない彼を気にかけているのか、花は何度か陽平の部屋をチラチラ見ていた。
そんなに気になるのなら、ドアを開けて中に入ればいいのに……。
2人の様子がいつもと違うことに気がついたのは、晩ご飯を食べているときだった。
TVを見ながら食べる役は、いつも俺なのに。
なぜか、今日は陽平がその役をやっていた。
……花の態度もおかしい。
黙っている陽平を気にしているはずのに、話しかけもせず、俺の話にうんうん頷いている。