多分、気を遣ってくれているのだろう。

俺が勝手に場所を決めたときも、彼女は文句を1つも言わず、今も「昨日より空いていて嬉しい」と微笑みかけてくる。
消極的で気を遣いすぎるところは、子供の頃からちっとも変っていない。

「おみくじやるんだろ?」

いか焼きを買って食べている彼女に、呆れた口調で声をかける。

こういうところではしゃぐところも昔と同じだ。

今日の俺は、花が見せる仕草の1つ1つを、昔の彼女と比べている。

それは多分、昨夜の質問で、久しぶりにあのことを思い出したからなのかもしれない。