家に帰って携帯を見ると、
LINE通知が数件来ていた。
その数件の中に、染岡諒生の
名前が記されていた。

『明日相談聞いてほしいんだけど。』

………急に何。

『今じゃダメなの?笑』
『うん。』

今じゃダメな相談って何。
ま、まさか恋愛相談??!
…諒生の好きな人が誰なのか聞けるかも…。

『わかった。』
『放課後、教室に居てて。」
『うん。』

諒生とLINEで話したことがぐるぐると
頭の中を回っている。
諒生の好きな人か……。
聞きたいようで聞きたくない。
でも諒生と約束しちゃったしなぁ。

「おはよ、サワ。」
「あ、おはよ。諒生。」
「おはよー!湊世!」
「…お、おはよ。稔。」
「おい初瀬、今なんて言った?」
「え、おはようって。」
「そのあとだよ。」
「湊世。」
「それだよ。お前何仲良くなってまだ10日もたってないのにサワのこと下の名前で…しかも呼び捨てで呼んでんだよ。」
「いいじゃんね?湊世?」
「だめだろ。」
「湊世に聞いてるんだけど。」
「へえ、湊世って言うんだ。」
「………。」
げ。深善楡也。
「…誰?」
諒生はやっぱり知らないよね。
「何の用、女たらし。」
稔は普通に本人の目の前で平然と本当のことを言ってしまった。
「女たらしって誰のこと?」
きょとんとする深善楡也。
「あー嫌だな、もしかして俺のこと言っちゃってる?そんな言い方なくない?俺心脆いんだよ?こう見えて。泣いちゃうわ〜。全治1年かもしれない。」
笑顔で受け止める深善楡也。
こいつの発言、
いちいち周りの気に触る天才だと思う。

「サワ、いつの間にこいつと仲良くなったの。」
「仲良くなんかなってないから!」
「それはないんじゃない湊世っち?」
「………なにそのあだ名。つか馴れ馴れしく下の名前で呼ばないでよ。」
「いや、いいじゃん?この子だって下の名前で呼んでるし。」
「稔は友達だからいいの!」
「俺も友達じゃん!」
「あんたはただのクラスメイト!」
「…仲良いんだね。」
「諒生までなに言っちゃってるの?!」
「佐羽ちゃん、こんな奴と関わっちゃだめだよ!佐羽ちゃんが汚れちゃう!私が守るから!」
「関わるつもりなかったよ!けどこいつが!」
「え?湊世っちが構って欲しそうな顔してたから〜。」
「してません。」

「深善〜まぁたナンパ?って昨日の子じゃん。」
深善ガールズが3人現れた。
「昨日?」
諒生が反応する。
やばい、やばいぞ湊世。
軽い女だって好きな人に思われたら
終わりだって。
「いや、諒生!これはね…。」
「振られた相手にまたナンパしちゃってんの〜?」
「深善にはぁ、私たちがいるじゃん?」
深善ガールズの1人が深善楡也の腕に腕を巻きつける。
「悪いんだけどさ。」
深善楡也がそう言って深善ガールズに向かって微笑んで腕を巻きつけた子の腕を優しく振り払った。