「じゃ、俺行くわ。」
「部活見学だっけ?」
「そう。」
「たくさんの人が入るといいね。」
「そうさせるつもり。」
「わ、自信満々だね。」
「可愛いマネージャーを入れれば男子がよってたかるじゃん?」
「え、マネージャー募集してるの?」
「うん。けど、サワはダメね。」
「え、なんでよ。」
「なんでも。」
「ああ…そうですか。」

こんな不細工がマネージャーやったら誰も入部希望しませんもんね。
そんなことわかってるよ。

「じゃ、気をつけて帰れよ。」
「うん。頑張って。」

「え、佐羽ちゃん帰っちゃうの?!」
「あ、稔…そっか、稔も部活か〜…。」
「うん…女テニ来る?佐羽ちゃんならテニス部一同大歓迎だよ。」
「遠慮しときます…。」
「そう?じゃ佐羽ちゃんまた明日ね!」
「稔、頑張ってね。」
「ありがとう!」

次々と教室から人が減っていく。
皆、部活にちゃんと言ってるんだ…。
私なんてもう既に…。

「部活行かんの?」
「……?」

げっ。

「初めましてー。」

で、でた!!!深善楡也!!!

「…初めましてー。失礼します。」
「ちょっと。」

あっさりと受け流し、
逃げようと早足で歩いたが
深善の足が速すぎて即、捕まってしまった。

どうすればいい、この状況。
絶対関わりたくなかったのに。
あっちから関わりにきたよ。

「声かけたのにあの態度はないんじゃないの。」

眉間に皺を寄せこちらをじっと見る。
はあ???
腹立つ、なにこの女ったらし。
そうだよ女ったらしだよ。
汚れまくってる男にこんなこと言われたくない。

「深善〜彼女たちがお待ちなんですけどぉ。」
「え、なになに?!深善新しい彼女?!」
「え、深善から誘ってる?!珍し!!」

教室から4、5人の個性豊かな女子たちか
顔をひょっこりと覗かせていた。

…本当に個性豊か。

「違うから!!!」

私も軽い女みたいに言わないでよ。
むかついて深善楡也にガンを飛ばして
逃げてきた。
逃げ足は速いんです私。

「あーあ、行っちゃったね。確か、佐羽ちゃんだっけ。」
「…知ってんの?」
「いや、当たり前じゃん、クラスメイトなんだし。染岡くんと仲良いって有名だよ。」
「染岡って誰。」
「え、クラスメイトの名前も知らないの?」
「深善は女の子にしか興味ないんだよねぇ〜?」
「染岡諒生だよ。佐羽ちゃんの前の席の。」
「………あぁ、あのイケメンくんか。」
「染岡くん1年の頃好きだったな私〜。…あ、で、でも今は深善だけで十分!かなぁ…なんて……。」
「ちょっと馬鹿!まああたしも好きだったんだけど…ね…!」
「…ふうん。」

「むかつくむかつく!むかつく!」
なんであんな男と同じクラスなんかに。
諒生と同じ、顔はイケメンでも
中身は全く違う。
「もう一生関わってやるもんか。」
次から会っても無視してやる。
…って断言したけど、クラスメイトなんだから毎日会うや…。