私は友達、杏李の協力をしよう。と
諒生にLINEをした。

『久しぶり。』

即秒で既読がついて
胸のドキドキが高まる。

『おー、久しぶり。』

LINEも諒生だな、って
思ったら無意識に笑っていた。

『元気?』
『うん。さわは?』
『元気でしょ 笑』
『うん。楽しそうだよね。』

あの時にはもう諒生の視界に私はいないと思ってた。
でもちゃんと映っていたんだね。

『染岡くんもね。クラスのLINEでめっちゃ求められてるじゃん 笑』
『見てんなら出現しろよ。笑』
『え、ごめん。』
『既読無視悲しいんだけど。笑』
『いや、でも染岡くんが既読無視されることはないんじゃないかな 笑』
『それはわからないでしょ。笑』
『どうだか 笑』
『用あってLINEしてきたんじゃないの?』

諒生って感が鋭いのか鈍いのか
さっぱりわからない男だ。

『そうだった!!!笑』

諒生は杏李のこと知っているのかな。
知らないままでいいと心の何処かで思っていた。
この時には最低な女だったんだ私。

『話長くなる?』
『なるかも。』
『じゃあ電話で言って。』

「わ…っ?!」

返答も待たずに電話をしてくる諒生も諒生らしいなって思えた。

「も、もしもし。」
「久しぶり。」
「…久しぶり。LINEでも言ったさそれ。」
「言ったけど、ね。」
「部活楽しい?」
「楽しいよ。サワの言った通りにして正解。」
「………覚えてるんだ。」
「当たり前。」
「…………へぇ…。」
「あ、用って何。」
「あ、それ。」
「…杏李って知ってる?」
「…………誰。」
「……ですよね。」

諒生は全く変わっていなくて安心した。

「…………クラスの人?」
「私のいつメン。」
「………特徴は?」
「黒髪で…身長低い!150cmとかって言ってた。」
「サワ何センチ?」
「156.1cm。」
「細か。」
「最後の1が大事なんだって。」
「サワ変わってない。」
「どこでそう思ったの。」
「全体的に。」
「……いいことなのそれ。」
「いいことなんじゃない?ホッとしたよ俺は。」
「…それを言うなら染岡くんだって変わってないよ。」
「いいことなのそれ。」
「いいことなんじゃない?…私は安心したよ。」
「…ならお互いにとっていいことじゃない。」
「うん…そうだね。」
「俺そろそろ家帰んなきゃ。」
「まだ帰ってなかったの?!」
「外走ってたの。体力作りってやつ。」
「…頑張ってるんだね……。」
「頑張ってるよ。2年生になるのはあっという間なんだから。」
「………。」
「いつメンに言っといて。俺好きな人いるって。んじゃ。」

え?

「自分勝手過ぎる…。」

………待って。

「好きな人ってだれ?」

初耳だった。
そういえば私と諒生は友達になっても
そういう話をしたことがなかったんだった。

諒生は前を向いてるんだな。
私と話せなくなっても諒生は私なんか気にせず前を向いて歩いた。

気にしてるのは私だけなんだ。

杏李には諒生が言ってたことを
そのまま伝えた。
でも杏李も
『私のこと知ってたんだ??!』
そう言って喜んでいた。
好きな人に知ってもらえてるだけでも嬉しいんだよね、人間って。
でも、知っているなら好きにもなってもらいたい。
私はそう思うんだ。
でも杏李は言っていた。
『私たちが染岡くんと釣り合うわけがないじゃん。』
って。
なぜ釣り合える努力をしないんだろう。
…でも私も結局は諒生と釣り合えない運命で。
だって諒生に好きな人がいるんじゃどうにもできないよ。
それに私は電話越しで本人に振られてしまっている。
告白もしていないのに。

そして2年になった時に
2回目の失恋を経験することになる。

「ねえ、俺が「彼女出来た」って言ったらどうする?」