なんとも思っていないようないつもの明るい声でサラッと理由だと言う優馬の顔は、声とは裏腹に辛そうだった。

きっとまだ吹っ切れていないのだろう。
未だにその先輩が好きなのは別として、裏切られたことを乗り越えられないのだろう。

でも誰だってそうだろう。
二股されていた挙句、でき婚だなんて信じたくない。
それがすごく好きだった人ならなおさら。

「ごめん、無理に話させて。」

「別に!過去のことだし!」

それでも傷ついていたのに。
それを笑って大丈夫だと言える彼はとても優しくて、他人思いなんだ。


「大丈夫、変わらない思いがあることもあるから。優馬のその恋は通過点で、そこを乗り越えてきっと最後の恋するんだよ。」

無意識に口からそんな言葉を出していて、途端に恥ずかしくなった。
それに何を知っているというのだろう。