アパートの前に着くとなんとなく別れが寂しくなる。
だからかじゃあと帰ろうとする優馬の袖を掴んでしまった。
「どうした?」
「えっと…。」
無意識の行動で私には説明できないのに、優馬なんてもっと意味が分からないだろう。
とりあえず掴んだ袖を離してキョロキョロと視線をさまよわせる。
「なんでもない…。」
「なんかあんなら言えよ?」
「なんとなく寂しかった…なんて!」
口に出してしまってすぐに冗談めかすが優馬は驚いた表情で止まっている。
それはそうだろう。
いつもの私なら絶対に言わないし、そんなに仲でもない。
「えっと、熱ある?それともホームシックにでもなってんのか?」
「っ!熱はない。確かにホームシック的なのはあるかも…。」
それでもこの気持ちを疑われたのが悲しかった。
寂しいと思うのは友だちでも有り得ると私は思ってるし。