そう牽制すると、天谷は歩き出す。
優也くんはその言葉に頷くこともせずに黙ったまま。
腕を引かれ歩く私を引き止めることもせず、瞳に映る優也くんは小さくなっていく。
「……優也くん!」
たまらず声を上げると、天谷は足を止めた。
優也くんと視線が重なる。
「バーカ、最低、大嫌い!」
分かった上で目を瞑ってたのは私。
それでも良いと思ってたのも私。
確かにそれはそうだけど、最後にこれくらい言ったってバチは当たらないと思うの。
「帰るんでしょ、天谷」
「あ、あぁ……」
少し驚いたようにそう言うとまた天谷は歩きだす。
やっぱり優也くんは何も言わなくて。
でもそれで良い。
今は何を言われても信じれないと思うから。
……あーあ、本当に終わっちゃったんだ。
そう思うと堪えてたはずの涙が再び視界を歪ませ始める。
さようなら、私の初恋。
ごめんね、ありがとう、大好きだった人。