「あれ、美沙ちゃん。図書室に来るなんて珍しいね」
……完全に失敗した。
放課後に話そうと言った優也くんは、おそらく私の教室に迎えに来る。
だけどいつも私のクラスの方が先に終わるから、来る前に逃げようと思った。
家に帰ろうとしたところで近所に住む優也くんにすぐ追いつかれてしまう。
だから校舎内にしばらく隠れていようと思って、ぐるぐる回って、ようやく辿り着いた図書室。
普段絶対に来ないからここならバレない、そう思ってたのに。
「……お姉ちゃん、図書委員だったね」
「そうよ。やだ、美沙ちゃん、忘れてたの?」
優也くんの次に…いや、もしかしたら優也くん以上に会いたくなかったかもしれない彼女が笑顔で私を迎えた。
何でこんなこと忘れてたんだろう。
靴箱は鍵があるから、靴の確認は出来ないから大丈夫なんて思ってたのに。
そうだ、お姉ちゃん、図書委員だよ。
……全然、大丈夫なんかじゃなかった。