「みんなにも聞いてほしい!!!」
弘樹は大声を出して、周りを見据える。
「俺さ…、小学生の時にこの輝夜にきて、
楽しくて、飛鳥さんいい人だし、尊敬してるし、絶対、絶対跡ついでやろう!って思ってたんだ」
それは、この前の…、初対面のあのときでさえ伝わってきた。
それなのに辞めるというのは、
大きな覚悟なのだろう。
「…両親に捨てられた、俺を…温かく迎えてくれたから。輝夜のためになんでもするって思えた。
…今でもその気持ちは変わらねぇけど。
七彩に会って、こんなまっすぐな奴いるんだって思えて、同時に…、少し寂しさがあって。」
弘樹は、ぎゅっと拳を握りしめている。
「俺…、姉ちゃんいるんだよ、
8つ離れた、社会人の姉ちゃん。
七彩がどうしても姉ちゃんに重なって。
姉ちゃんが夜中まで働いて、俺養ってくれてるのに、俺はここにいて、バイクなんて乗ってて…。
俺、決めたんだ。」
弘樹はすーっと息を吸って、さらに大声で叫んだ。
「俺…!!
高校、いいところ行って、大学行って…!!
一流企業勤めて…っ、
…姉ちゃん孝行するんだ!!」