「あ…、七彩。」
ボソッと聞こえた声に反応する。
「弘樹、やめるんだ?」
少し涙目の弘樹に、そう問いかける。
「七彩、俺、やめようって思ったの、七彩のおかげなんだ。」
え…?
私が、原因…?
「いや、悪い意味じゃねぇよ。
七彩のせい、じゃなくて、おかげ。」
私の…おかげ…?
「どういうこと…?」
私、なにかしたかな?
周りの不良たちも、もちろん例外なく飛鳥たちも、目を見張っている。
「よかった、七彩には辞める理由きいてほしかったから。」
あの憎たらしい笑顔ではなく、
弘樹は無邪気な笑顔を見せた。