怒ってるのかなぁ。
いきなり馬鹿にした私に。
ここで私のこと殴ったりしたら面白いのにね。
そう思ってると、
「えっ…」
上から手がのびてくる。
私に、掴みかかろうとしてる?
胸ぐら掴まれて、投げ飛ばされちゃう?
面白いとか思ったけど、それでお母さんの二の舞になるのは嫌かなぁ。
ここ階段だし、突き飛ばされたら死んじゃうかな?
そんな冷静な考えをしながら、私は飛鳥の手を待つ。
今見たら、きっと飛鳥、すごい怒った顔なんだろうなぁ。
だから、そっと顔をあげた。
けど、
それは、
「お前、なんで泣きそうなわけ?」
くしゃっと私の頭に手を乗せた、飛鳥の姿だった。