「きゃーーー!!!」


その時。

どこからともなく聞こえてきた黄色い声に、私は「!?」と目を見開く。


「広瀬くん!かっこいいー!」

「こっち向いてーー!」

「キャー」


驚いて声がする方を見ると、そこには集団で騒ぐ女の子達。

悲鳴にも似た声を上げながら、校庭にいる広瀬先輩に向かって、しきりに皆手を振っている。


「…び、びっくりしたぁ。なにあの人たち」

「ほら、例のファンクラブだよ。広瀬先輩の」


両手で心臓を押さえるユカリを見て、みーちゃんが呆れ気味に答える。

その会話を側で聞いていた私は一人ドギマギしていた。


「……」


…ファ、ファンクラブ。

昼間二人が言ってた、先輩にファンクラブがあるってウワサは本当だったんだ。

さすが上級生の集まりだけあって、美人でキレイな人がいっぱい…。

ここに居る私と同じ。
今あそこにいる子たちも皆、広瀬先輩のことが好き、なんだ…。


そこまで思いかけて、私はギュッと手を握りしめる。


「……」



なんか、

一気に自信なくしてきたかも…――





「あ、隼人!」


がくっと肩を落としかけそうになったのもつかの間、

隼人が来た声に私ははっと顔をあげる。