すぐさま後ろを振り向くも、案の定隼人は教室を出ていった後だった。


諦めたように目を伏せた私は、もう一度紙に書かれた隼人のいびつな文字を見つめてみる。


「……」



“この間はごめん”



隼人の、ばか…。

別にわざわざこんな。
紙にまで書いて謝るような事なんて一つも、してないじゃん。


私がただ先輩を…いつまでも諦めきれないだけなのに。



(……謝らせてしまった。誕生日なのに)



ふと窓の空を見上げれば
昨日までの天気がウソみたいに
辺り一面、雲ひとつ見つからない、青く澄み渡った世界が広がっていて。


あまりの眩しさに目をつぶると、無性にいたたまれなくなって俯いた。



「……」



”誕生日おめでとう”って、言えなかったな……。