気がつくと、頬にはまだ伝ったままの涙。 私は急いでごしごしと腕で拭う。 「別に泣いてない」 「泣いてんじゃん。嘘つくなよ」 少しムキになったように隼人が近づいてきた。 そして私のすぐ目の前まで向かってきたかと思うと 途中、隼人が窓から見えた先輩の存在に気づく。 「……」 どこか一瞬ためらったような表情を浮かべながらも 隼人はもう一度私を見ると、こう言ったんだ。 「広瀬先輩は、やめとけよ」