「そっか、そうだよね。
なんだぁ、私ってばてっきり優衣が広瀬先輩のことほんとに諦めちゃって、隼人と付き合いだしたのかと思ったよ」

「はは、まさか。」


ありえないよ、そんなの。


心の中で否定しながら、
私は動かしていた箸をいったん置くと、ふと屋上から遠くの方を見つめた。


…そっか。

そういえば昨日隼人と一緒に帰ってるところを、クラスの皆に見られてたんだよね。

って事はもしかしたら、広瀬先輩の目にも入って…?



そこまで思いかけてすぐ、私は心の中で首を大きく左右に振る。


「……」


ううん。

それこそ、ありえない。


先輩が見ているのは、加奈子さん。

ただ一人で。


先輩の目に私が映るなんてことは絶対、ありえないんだ……。