「!優太…」


確かにお願いはしたものの
まさか本当に助けられるとは思ってもみなくて。

ひとり目を見張る私に、まだ幼げな顔をした優太が「?」と首を傾げる。

でもすぐにその表情をふにゃりと崩したかと思うと、まるで天使みたく笑った。


「優衣姉ちゃん。けがしなくて良かったぁ」

「……」



あぁ……

本当に、どこまで似ているの?

笑い方まで一緒なんて。


妹みたいな存在だとか
彼女として見てもらわなきゃとかって


そんなこと…頭で考えてばっかりで
とても大事なことを忘れていた気がする。


「ありがと優太、ありがとう……」

「?」


まだぎこちない足取りながらも、その小さな体を胸に抱きしめた。


ありがとう優太。

私の気持ちを思い出させてくれて。


あぁそうだ。

私が本当に見たかったのは……――





次の日の放課後、私はある場所へと急いでいた。

帰りのホームルームまでは確かに持っていたはずの松葉杖も今は置いて。


自分の足で立って、しっかりと歩み進んでいく。





図書室では、今日も一人で勉強している様子の隼人。


そしてその向かい側にある椅子は、昨日見た時と同じで一歩引いてある。


これでも尚まだ勇気が足らないのか、つい廊下で二の足を踏んでしまったところ、隼人が振り返った。