それなのに今は純粋な気持ちで喜べない。
隼人に追いつくことが出来たら、きっと何か変われると思っていた。
でも、本心はそうじゃなかったんだ。
私が本当に望んでいたのは………
「あ、優衣おかえり~どうだった?」
松葉杖を使った移動にも今ではすっかり慣れ、一人で教室に戻ってきた私を、ユカリがのんきな様子で出迎えてくれた。
「うん、人いっぱい居たよ。ユカリは見に行かなくていいの?」
「え~?だってさぁ、見に行ったところで自分の名前載ってないし」
机に頬杖をついたまま口を突き出すようにして言うユカリ。
まぁ確かに……
みーちゃんも人の順位には興味がないようで、次の授業に使う参考資料をひたすら眺めてる。
「それより優衣は今回50番以内だったんでしょ?凄いじゃん!一体どんな勉強法してんの?
あっ、そういえば放課後、図書室で勉強してるって言ってたよね?」
「えっ!?あ…図書室はえーと、実は最近行ってなくて…」
前までは図書室に居残って勉強していた事を何気なく聞かれて、思わず言葉を濁してしまった。
そして明らかしどろもどろになる私を、ユカリがキョトンとした目で見上げてくる。
「行ってないの?なんで?隼人と勉強してるんじゃなかったっけ?」
「……」
“私に、優しくしないで…”
あの日はっきりとそう告げて以来、私は図書室にも足を運ばなくなり、隼人と一緒に勉強することも無くなってしまった。
約束がうやむやになるのは嫌だったはずが、結局自分でそう仕向けてしまった。
今さらもう元には戻れない。
それは分かっているけど……
「……」