「!みーちゃん」

「行く必要ないよ優衣。
話なんて、どうせろくでもない事だから」


思いもしなかったみーちゃんの忠告に私は目を見開く。

同時に、目の前に立つ藤原さんはいっそう声を低くした。


「…はっ?なに?つうかバカにしてんの?あんたには関係ないでしょうが」

「関係あるから言ってんの。
友達がこのあと怪我させられるのに、みすみす黙って送り出すバカがいると思う?」



け、怪我…――?

みーちゃんの言葉でハッとして、とっさに藤原さんを見る。


するとそれは事実なのか、藤原さんは悔しそうに歯を食いしめていた。



「藤原さんさ、嫉妬なんてしてる前にもっと他にやる事があるんじゃないの?受験生でしょ」

「……っ」

「もし優衣に何かしたら、許さないから」

「――っそ、そーだそーだぁ!!
いくら顔が可愛かったってねぇ、性格ブスじゃドン引きだっつーの!」



みーちゃんに便乗して火がついたのか加勢するユカリ。


が直ぐに、「ユカリは余計なこと言わんでいい」とあっけなくみーちゃんに鎮火させられていた。



この一連の騒ぎにややザワつき始める周囲。


すると藤原さんもこれには都合が悪く思ったのか、チッと舌打ちした後きびすを返し始める。

そしてすれちがいざま


「!」


ドン!と勢いよく肩をぶつけてきたかと思うと



「隼人は渡さないから。絶対」




そう言い残して取り巻きの女子と共に教室を出ていった。