「……」

「最後の最後で点入れられて2位だった」

「――に、2位でもすごいじゃん!全国で2番だよ?」


そんなとっさの励ましにも、隼人はただ首を左右に振るだけだった。


「それでも1位じゃないなら、俺にとっては負けたも同じ」


隼人の口からまさかそんな言葉が返ってくるとは思わなくて。

思わず目を見張ってしまった。


繋がれた手が、急に他人みたく感じる。


隼人、やっぱり変わってしまったの…?


私の知っている隼人は、そんなこと言うような人じゃなかったのに。


「…ねぇ隼人。前から聞こうと思ってたんだけど、なんでそんな順位にこだわってるの?」

「……」


私の問いかけに、隼人の握る手が一瞬強まった気がした。

そして私をまっすぐ見下ろすと、はっきりこう言ったんだ。


「広瀬先輩に勝つため」