ずっとこうして居たいな…


「あ、あのさ」

「?」

「言うの遅くなったけど、なんつーかその、浴衣…」


その余韻を感じるようにひたすら寄り添っていたら、ふいに隼人がボソ…と呟いてきた。

でも何だか妙に言いずらそうで、ハッと気づいた私はとっさにこう口走る。


「も、もしかしてどっか変!?ラムネ色とか?!」

「(ラムネ…?) え、いや、違くて」

「……」

「その…浴衣、似合ってるよ(って言おうと思ったんだけど)」


急に上からじっと見つめられ、心臓がドキンと音を立てる。

すると今度はこっちが恥ずかしくなり、パッと目をそらしてしまった。


「…ほ、ほんとに?」

「うん」

「……」

「大会終わってさ。正直疲れてたけど、浴衣姿の優衣見たらそんなん吹き飛んだ」


えっ?(ポッ)

って、またときめいてる場合じゃなかった。


でも、そっか

今日サッカーの決勝だったんだよね。


「ありがとう、嬉しい。
隼人こそ大会お疲れさま。試合どうだったの?」


そういえば今年は台風が行ったあとだったから、サッカーの中継をテレビで見るの忘れてた。


今頃になってようやく今日が決勝の日だったことを思い出したこともあってか、何気なく試合結果を尋ねてきた私に、隼人は静かにこう答える。


「うん、負けた」