お祭り中、響いて聞こえてくる笛の音や太鼓の振動。

立ち並んだ色とりどりの出店に、おもちゃの風車。赤い提灯。


そして隣には――隼人。



社殿へと続く石畳の参道には既に長い行列が出来ていて

あまりの人の多さに飲み込まれそうになっていたら、隼人がこっちこっちと手を伸ばしてきた。


「優衣、もっと寄らねーと。でないとはぐれる」


そう言ってヒョイと何気なく私の腰を抱き寄せる。


あ…


この時思わず真っ赤になる私に気づいたのか、隼人が途中で恥ずかしそうにその手をパッと離す。