急いで私が駆け込んだ先は、神社を訪れた人たちが身を清めるために使う手水舎だった。


すぐさまひしゃくで水をすくい、濡らしたハンカチで汚れた浴衣の裾を何度も押さえつける。


幸い、ラムネ自体にはさほど色がなかったせいか、目立ったシミにはならずに済んだ。


ホッと胸を撫で下ろした私は、ようやく自分の足元に目を向ける。



「……」



履き慣れない下駄。

前もって、絆創膏を入れておいて良かった。

傷口を水でよくすすいだあと、足にペタッと絆創膏を貼りつける。


まだちょっとだけ痛む気がするけど、これくらい平気。



それよりも…



“もう帰ってくんじゃねーよ”



あんなことを言われて、また藤原さんたちがいる場所にノコノコと出戻るのは正直気が引けるけど…私は一人じゃない。


きっと今ごろユカリやみーちゃんが待ってる。


それに隼人だって……




だから絶対、負けるもんか。


とっさに気を奮い立たせた私は、急いで藤原さん達がいる場所へと引き返す。