突然名前を呼ばれたことに心臓がドキィ!として、思わず変な声が出てしまう。


「は、はい!」

「ちょっとやだ。敬語なんて使わないでよ。私たちクラスメイトでしょ?」

「……」

「お近づきの印として栗原さんにはこれあげる。さっき出店で買ってきたんだけど、実は炭酸飲めなくて」


そう言って藤原さんが私に向けてきたのは、透明の瓶に入ったラムネジュース。

まだほんの一滴も口をつけていないのか、栓をされた部分には青いビー玉が埋め込まれたままだ。


…の、飲めないならなぜ買ったのだろう。

でもここは有り難く受け取っておくべきだよね…


若干疑問を感じながらも、気を悪くさせてはいけないと思った私は薦められるまま、藤原さんの手からその瓶を受け取ろうとする。


「……あ、ありが」


お礼を言おうとして、恐る恐る手を伸ばしたのもつかの間

指先が触れるほんの寸前、藤原さんが持っていた瓶をパッと離した。


――ガシャン!