「ねぇお母さん、私の格好変じゃない?」
「もう優衣、さっきから変じゃないって何度も言ってるじゃない」
その日の夕方。
自分の姿を気にしては何度も聞いてくる私に、
玄関を出る頃にはさすがのお母さんも返事が適当になる。
だって気になるんだもん。
「それと今日は帰り遅くなるんでしょ?気を付けて行ってらっしゃいね」
「うん行ってきます!」
履き慣れてないせいかちょっと歩きづらいけど、足取りは軽い。
カコカコと下駄を鳴らして、元気よく家を後にする。
ところが。
「…あれ?」
集合場所に着いて早々、思わずそんな声が出てしまった。
慌てて時計を見ると、時刻は17時45分。
どうやら15分ほど早く着いてしまったらしい。
約束の場所である神社正門には藤原さんと、その友人ふたりがいた。
慌ててラインを見ると、ユカリは浴衣の着付けに手間取っているようで、みーちゃんは塾終わり今こっちへ向かってるらしい。
隼人たちサッカー部もここには着いていないのか、まだ誰も居なかった。
どうしよ、そういえばあんまり藤原さんたちと話したことないし
ちょっと気まずい…
そんなことを思いながらもとりあえず自分も他の皆がやって来るのをおとなしく待つ。
こうしている間も、周囲は大勢の参拝客でごった返していて
一人キョロキョロしていたら、藤原さんが声をかけてきた。
「栗原さん」