お昼過ぎ。
終業式を終え、家に飛んで帰った私は早速タンスからある物を引っ張り出していた。

そしてすぐさま鏡の前へと移動し、自分の身長と比較合わせてみる。


「……」


ミラー越しに映るのは、夏色の浴衣を手にやや紅潮気味な様子の…もう一人の自分。

去年はこれを着て隼人とお祭りに行こうとして…叶えられなかった。

あれから背も少しは伸びたし、今年は着れるかどうか不安だったけど、なんとか大丈夫そう。


「は~良かったぁ」


ほっと胸を撫で下ろした私はそのままボスンッと部屋のベッドにダイブする。


「……」


って、ちゃっかりくつろいでる場合じゃなかった。


(べ、勉強しよ…)


期末も終わって、明日から夏休みだし今日くらいちょっと休みたいけど
多分こうしてる間にも、隼人はどんどん先へと向かっている。

私も頑張るんだ。

とっさに気を奮い立たせた私は机に向かうと早速、受験勉強を開始する。


カリカリ…と
しばらくの間、夢中でシャーペンを走らせながら…

ふと消しゴムに手を伸ばしたとき、シーツに寝かせたままの自分の浴衣に目が行った。


“来月の30日さ、祭り行かね?ここにいるメンバー全員で”


隼人と二人でお祭りを見て回ることは出来ないけど
誘ってもらえただけでも充分嬉しいや。

それにユカリとみーちゃんも一緒だし。

来月の30日。わいわいと大勢でお祭りを楽しむ自分を想像し、顔がほころんだ。


「……」


皆で行く夏祭り

楽しみだな……