「ねぇ、花火やりたくない?」


シトシトならぬ、まさにジトジトと言った雨音がする金曜日。

1学期の期末考査も間近に迫る一方、ユカリがこんな提案をしてきた。


“花火”


そのワードに、横で問題の出題役をやらされる羽目となっていたみーちゃんが「は?」と口を開ける。


「いきなり何言ってんの」

「だってさぁもう7月だよ。遊びたくない?」

「遊ぶも何も、うちら受験生でしょうが。ていうかその前に期末あるし」

「でも息抜きも必要じゃん!てか夏だよ夏!」

「梅雨すら明けてないけど」


ことごとくその意見は却下され、撃沈するユカリ。

かくいう私も中間テストの結果は散々だったため、助け船を出す事も出来ない…

気を紛らわしてか窓の方に目をやるも、外は相変わらずの雨。


「……」


……花火かぁ

そういえば去年もやれず終いだったっけ。