このままじゃ、置いていかれる……




「ーーえっ隼人、西高受けるの!?」



翌日。

休み時間にも関わらず必死に英単語を暗記していたら、突然クラスの藤原さんが声をあげた。


その声にビクッとして顔をあげると、窓際では藤原さんに騒がれてちょっと困惑気味な様子の隼人。


「おい…つうか藤原。あんま大声で言うなって…」

「だって西高でしょ?超頭良いとこじゃん!」


話を聞いているのかいないのか、藤原さんはますます声を高くする。


そしてその会話は同じ教室内にいる私たちにも丸聞こえで、隣のユカリはまさに開いた口が塞がらないといった顔。


「えぇ…あの隼人が西高?まじで信じらんないんだけど」

「……」


西高校……


今年から受験生にも関わらず、個々の高校に関してはまだいまいちピンとこない私。


…それでも西高だけは、この学区内でも一番偏差値が高くて有名なことだけは知っていた。


だから余計に焦ってしまう。

隼人、そんな頭の良い高校行くつもりだったの……?


ショックで頭が真っ白になっていたら

まるで追い討ちをかけるかのように藤原さんがこう言ったんだ。


「じゃあ私も西高行くー!」