…って

のんきに安心している場合じゃない。


まず一番気にしなきゃいけないのは自分自身のこと。


今自分が向き合うべき問題は私自身の成績と、進路のことだ。





放課後。

走って家へと帰ってきた私は早速、勉強机へと向かっていた。

机の上には無造作にバラ撒かれた、たくさんの参考書やらノートたち。

来月の中間試験に向けた予習と、今までの授業の復習も兼ねていた。



でも…


「……」


あ゙ぁ~…もう!

全っ然分かんない!


分かった事といえば、勉強というのは日々の積み重ねで

今までまともに取り組んでこなかった自分がいきなり勉強を再開したところで、どこをどうすればいいのかも分からないのだ。


分からないものは分からないのに、どう一人で理解すればいいのやら…

ってか、どこがどう分からないのかすら、もうよく分かんないんだけど…


あぁ、なんか自分で言っててますます混乱してきた…。



しばらく一人頭を抱えたあと、私は引き出しに押し込んでおいた、こないだ返却されたばかりのテストの回答用紙を開く。



「……」



答案用紙には赤マルなんてほとんどない、レ点ばかりのひどい有り様で。

たった1枚の紙だけで、自分がまるでダメ人間だと言われているような気がした。



しばらくの間、そのありえない点数を複雑な表情で見ていたとき、

ふと誰かが階段を上がってくる音がして、コンコンとドアの壁をノックされる。


私の返事を待つよりも先にお母さんが顔を出してきた。



「優衣、帰ってたんなら一言くらい声かけたらどうなの?誰かいるんじゃないかと思ったじゃない。
…って、何か今隠さなかった?」

「べ、別に!隠してないし!てか、勝手に入ってこないで!」



焦りと後ろめたさからつい、大声でわめいてしまった。


そんな私に驚いた様子のお母さんはどこか困惑しながらも、言う通りドアを閉めていった。

再び一人になった部屋で、私はギュッと唇を噛みしめる。


後ろ手ではとっさに握りしめてグシャグシャになったテストの紙…。



「……」



どうしよう。