…知らなかった。

しばらく見ないうちに隼人がそんな凄い人になっていたなんて。



そう思ったら今までずっとやんちゃで子供っぽく見えていたはずの隼人が、急に落ち着きがある人のようにまで感じてきた。



…一体いつから、こんな大人びてしまっていたんだろう。

そういえば1年の頃、ほかの男子たちとよくやってたプロレスごっことか変な遊びとかもやらなくなってるような…



こんな事を考え込んでいる今も
休み時間中、隼人は昔のように男友達と無茶な遊びをすることなく、ただ向こうの窓際に寄りかかって普通に喋っている。


しばらくその姿をじっと見ていたら目が合ってしまった。



思わず顔を赤らめた私に、隼人が口パクで何か言っている。


ん?なに?











あほげ?


(うそ!?)


その瞬間、急いで手鏡を取り出して頭を確認するも、あほ毛らしきものは見当たらなかった。


怒って顔をあげる私を見て、隼人はケラケラと笑ってる。



もう隼人のやつ!

あとで一発ケリ入れてやるんだから!



つい悪態めいたことを思いつきながらも、本心はどこか安堵している自分がいた。


「……」


…でも、よかった。

やっぱり隼人は、隼人だ。