隼人…


『けど優衣には優衣の良いところがあるんだし、あんま落ち込みすぎんなよ?』


隼人ってたまに…エスパーなんじゃないかと思うときがある。

いつだって私が言われて嬉しくなる言葉を言ってくれるんだ。


『ありがとう隼人。でももう平気だよ』

『ならいいけど。実はちょっと気になってたから』


それってもしかして私のことずっと心配してくれていたのかな。


(やっぱり隼人は優しいな…どんなときも)


改めて隼人のその人柄に惹かれていくと同時に、もう一度お礼を伝えるのはさすがに照れくさかったので、ありがとうのスタンプを付け足しておいた。


『んじゃ俺はそろそろ勉強に戻るわ』

『うん、来週のテスト頑張ろうね』


お互いテスト前ということもあってか、それ以上隼人とラインが続くことはなかった。



それでも不思議と私の心はポカポカと穏やかで。

ふと思い出したように通学カバンからある物を取り出す。


…手元には、今日帰りに配られたばかりの進路希望調査票。

とりあえずは第3希望まで行きたい高校を選んでも良いらしく、三つ空欄がある。


しばらくそれを黙って読んでいた後、私はぼんやりと宙を見上げた。



「……」


志望校、かぁ……。