突き動かされるまま、私たちは急いで先輩の元へと駆け寄る。

するとそこに立っていたのは紛れもなく、あの広瀬先輩だったんだ。


「はぁ良かった見つかって。サッカー部の先輩たちの所に行っても居なかったから、もう帰っちゃったのかと思いました」


ようやく見つけられたことに安堵してか、とっさに話しかけてみた様子のユカリ。

私はというと、すぐ目の前にいる広瀬先輩の顔を直視できずにひたすら俯いていた。



「……」



今まで何の面識もなく、ただいきなり押し掛けてきた私たちに対して、先輩は終始無言のようだった。

今一体どんな表情をしているかもわからない…。



「…ほら、早く言いなよ」

「うっ、うん…」


この時みーちゃんにさりげなく促され、後ろに隠れぎみだった私はようやく二人の1歩前に出る。

そして覚悟を決めたように顔をあげると、大きく息を吸ったんだ。



「あの!私…突然ですけど、入学した時からずっと見てました!ずっと、好きでした!」