「ん」

「!」

「もしかしてこれ、優衣のか?」


そう尋ねて、拾いあげたリボンを私の手のひらに乗せて返してくれた隼人。

前見たときよりも一回り大きくなった気がするその手に一瞬ドキッとしつつも、私はコクリと頷き返す。


「…あ、ありがと隼人」

「つーかそれ頭につけんの?珍しくね?あ、卒業式だからか」


一人で勝手にしゃべって納得したかと思えば、今度はチラ、とこっちの方を見てきた。

私はとっさに渡されたリボンに視線をそらす。


「ユカリとみーちゃんがプレゼントしてくれたの。今日、誕生日だから…」

「…あ、そっか」

「わ、忘れてたでしょ!?」


別に隼人に覚えてて欲しかったわけじゃないけど、そんな文句が口を突いて出てしまった。

思わずムクれた顔にまでなる私に、隼人が少し慌てたように両手を前に出してくる。


「あ、いやワリっ、今のはついわざとっつーか…ごめん、本当はちゃんと覚えてたよ。1年の頃も」

「……」

「誕生日、おめでとう」



隼人のことだからてっきり私の誕生日なんて頭にないもんだと思っていたのに

急に改まってそんな事言われるから、言葉が出なくなってしまった。


お礼を言いそびれてか軽く握りしめたままのリボンを、隼人が何気なく指さしてみせる。